電気自動車の導入を支援するインドネシア政府

政府は大統領令を通じて、インドネシアでEVの導入に関与する全てのステークホルダーに全面的な支援を行うことを決定しました。

2018 年 11 月 , by

過去数年間のインドネシアにおける全ての経済部門の成長は、化石燃料の国内使用量の成長と相関がみられ、化石燃料は依然として、家庭から交通部門に至るまで、インドネシアの全ての経済部門における主要なエネルギー源として認識されています。この依存状態を背景に、補助金、エネルギーの持続可能性の問題、CO2排出率に対する国家予算の割当額が増加していました。

全ての悪影響に対処するためにも、再生可能エネルギー源の採用を早急に実行に移す必要があります。その取り組みの1つは、インドネシアにおける電気自動車(EV)の導入です。インドネシアは経済的に余裕のある中間層の消費者が増加し続ける、世界で4番目に人口が多い国であり、安価でエネルギー効率に優れた自家用車に対する高い需要が存在する、この広大な市場への参入を試みるEV業界にとっては、大きな機会が存在すると考えられています。

私たちのレポート「インドネシアの電気自動車:持続可能な輸送への道」において掲載された調査によると、インドネシア人の63%は電動バイクが利用可能であることを十分に認知しており、電動バイクの特に燃料効率、価格設定、メンテナンスコストが低いことについて、肯定的な印象を抱いています。一方で、インドネシア人の46%が、電気自動車が利用可能であることを認知し、そのモデルやサイズに関して肯定的なイメージを持っています。ただし、EVが認知を獲得している一方で、EVの導入におけるインセンティブが欠如し、十分なインフラも整備されていないために、EVの購入意向は依然として高まっていません。

Electric Vehicle in Indonesia政府は、大統領令を通じて、インドネシアのメーカーと消費者の両方を含む、EVの導入に関与する全てのステークホルダーを全面的に支援することを決定しました。政府はインドネシア国民に対して、EVの利用を魅力的に見せるために、EVを利用する消費者に補助金を支給することを約束しています。メーカー向けには、政府はEV製造者を対象とした減税を導入する制度を整備しました。法制度やインセンティブスキームの点で、インドネシアで電気自動車の導入をサポートする準備は整っているといえます。

アイルランガ·ハルタルト工業相は、2025年までに、EVの総売上が国内車両総売上の少なくとも20%を占めると予想しています。この数値は、約200万台の電動バイク、2,000台の電気自動車、および711000台のハイブリッド車に相当します。今日のインドネシアにおいては、EVの普及はまだ発展途上の段階にあるため、全てのステークホルダーの協力がなければ、これらの数値は極めて楽観的な計画にとどまってしまいます。

インドネシアでEVの浸透を試みる政府のコミットメントの勢いを利用することで、将来のEV企業は、レポートで推奨されるフレームワークを採用し、参入すべき輸送分野とEV市場でシェアを獲得するために利用可能なキーポイントを把握することが可能となります。

インドネシアは、世界的なレベルでEV市場としての将来性が有望視されています。潜在的な市場性を持ち、政府の規制も適用の準備が整っているインドネシアは、確実にEVブームへの扉を開くとみられます。この機会は、世界中のEV企業にとっては無視できないものであるといえます。

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