2019年に25億9000万米ドルに達するマレーシアの電子小売り産業。

マレーシアは現在、ユーザー数の増加で成長がもたらされる段階ではなく、ユーザーごとの購入金額によりもたらされる段階にあります。

2017 年 11 月 , by

国内のeコマース市場は飛躍的に成長を遂げており、消費者向けの電子小売(eテール)ビジネスが成長の起爆剤となっています。弊社のレポート「マレーシアの電子小売り市場:地域の成長ストーリーを創り出す原動力」によると、急速な発展によりeテール産業がマレーシア人にとってより重要な役割を果たすようになり、最良のオファーを発見したり、新製品を閲覧するために使用されるだけではなく、食料品、健康製品、その他の家電製品の購入など、日々のニーズを満たすことにもつながるとみられています。

この進化は、マレーシアが現在、ユーザー数の増加からは成長がそれほどもたらされず、ユーザー1人あたりの購入金額の増加こそがカテゴリー成長を左右する段階にあることを示しています。通常のオンライン商品ポートフォリオに新製品グループが追加されることで電子小売りが成長するという状況は、eコマースの発展において次のステージ、つまりユーザー数の増加が成長を牽引していた浸透段階から、オンラインで購入できる商品の幅が増えることで成長がもたらされる段階へと移行していることを意味します。こうした状況は、マレーシアの電子小売り市場が飛躍する裏付けとなるとみられています。

現在の市場トレンド

弊社のレポートによると、マレーシアのeコマース市場は2019年に17億7000万米ドルに達し、さらに2021年までに25億9000万米ドルに達すると予測されています。この市場は、食品やパーソナルケア、ファッションやアクセサリー、玩具、ホビー用品、DIY、エレクトロニクスやメディア、家庭用品、家具、家電製品など、様々な製品カテゴリーにおいて、2016-2021年の間に24%のCAGRを示すとみられています。家庭用品、家具、家電製品は、マレーシアのeコマース市場で最も急成長する製品カテゴリーとなる見通しで、2016年から2021年の間にCAGRとして最も高い43%を示すと予測されています。

マレーシアのeコマースの成長を促した主な要因として、中間層人口の増加と、インターネット普及率の高まりが挙げられます。同国の中間層の人口は、毎年6.9%増加すると予測されており、インターネットへのアクセスもより一般的となり、2018年には普及率は79%に達しました。eコマースの発達は、デジタルに精通したマレーシア人に利便性を提供し、オンラインでショッピングを行うことで、時間を節約することが可能となります。これにより、ユーザーは異なる店舗間で商品の価格を比較し、いつでも一番安い商品を見つけ出すことができます。さらに、eコマースによって、輸入品が人々にとってもっと身近なものとなります。輸入品や多様な商品に対する需要の高まりは、市場の主要企業が商品の提供にむけて動くきっかけとなります。

小売業はeコマースへと変貌する

マレーシアにおける電子小売りの急速な成長は、実店舗のビジネスからeコマースやデジタルエコノミーへの変革を浮き彫りにしています。ターゲット市場とのエンゲージメントを深化させるために、マレーシアの多くのサービスを基本とする小売ブランドが、ウェブサイトやソーシャルメディアのアカウントを立ち上げています。一部の小売業者はテクノロジーを迅速に受け入れていますが、マレーシア小売チェーン協会(MRCA)のDatuk Garry Chua会長は、様子見の姿勢を維持する店舗もあると述べています。MRCAの調査の結果、サービスを基本とする小売業者は、依然としてオンライン対応に遅れをとっています。ブランドが現代の消費者と関係を維持するためにはオンライン上でプレゼンスを確立することは重要ですが、サービス中心型の小売業者がオンラインで実施可能な取引の種類には、まだ限りがあります。

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