サウジアラビアの医療トレンド:高齢化という課題

サウジアラビアは、医療インフラの整備を進めるとともに、予防プログラムを強化することで、医療制度全体の改善に努めています。

2018 年 01 月 , by

人口増加とそれに伴う生活習慣病の発症率の増加は、中東および北アフリカの医療制度に緊張をもたらしています。その中でも、サウジアラビアは、この地域ではGDPに対する医療費比率が最も高い国の1つであり、大きな困難に直面しています。

サウジアラビアの平均寿命は、1950年の平均42歳から2014年には72歳にまで延伸し、半世紀で35年近く増加しています。平均寿命が急速に伸びたことにより、同国が医療制度上の課題に直面する事態となりました。高齢化社会を迎え、高齢者一人当たりの支出額が大きいことから、サウジアラビアは医療制度の改革を検討しています。

さらに、運動不足のライフスタイルの増加、不健康な食生活、喫煙を原因とする生活習慣病患者が多数発生し、今や国内で大きな問題となっています。実際、サウジアラビアはMENA地域の中で糖尿病の発症率が最も高く、国民の690万人以上が糖尿病であり、30%は罹患していることも認識していないと報告されています。

糖尿病関連の支出は、同国の総医療費の約4分の1を占めています。治療には1人当たり平均800米ドルの費用がかかるため、同国の医療と財政面において、大きな負担となっています。しかし、政府は関連費用を抑えるために、疾病予防プログラムへの投資を開始しました。

サウジアラビアが直面しているもう1つの大きな健康問題は、喫煙に関係しています。同国は世界第4位のタバコ輸入国です。サウジアラビア保健省によると、成人男性の35%から45%、中等学校の生徒の24%が喫煙者です。タバコ関連の社会的、経済的、医療コストは13億米ドルに達しています。

国内のタバコ消費量を減らすために、政府は一連の禁煙政策を導入しました。現在、サウジアラビアのメッカとメディナの2つの聖なる都市内の政府施設や屋内公共スペースで、全ての形態の喫煙が禁止されています。驚くべきことに、世界第4位のタバコ輸入国であるにもかかわらず、同国のがん発生率は西側諸国に比べて低い水準にあります。ただし、がん関連の支出はそれでも高いレベルにあり、昨年は25万米ドル以上に達しました。同国は現在、医療制度全体を改善し、十分に統合された医療インフラの建設を進めるとともに、予防プログラムの強化に努めています。

他のインサイトを見る

レポート一覧を見る

メールアドレスを登録すると、アジア市場に関する最新情報およびホワイトペーパーを受け取ることができます