中国における海運業への新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスによるパンデミックが続く中、中国の海運業界が直面した困難は、世界に大きな影響を与えています。

2021 年 09 月 , by YCPS Marketing & Communication Group

20218月、中国の寧波舟山港の作業員に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことで、港が閉鎖される事態となりました。感染症の影響は1つのターミナルにとどまったものの、寧波舟山港が取扱量世界第3位のコンテナ港であることを踏まえると、この一時的な閉鎖が与えた影響は決して小さくありません。

 

さらに、このターミナルは、同港を経由するコンテナ貨物の25%を占め、閉鎖の影響は全世界に及びました。今後、中国をはじめとする世界各国は、海運業のコロナショックに対して、独自の解決策を見出す必要があります。




世界への影響

中国の海運業のコロナショックがもたらした被害の大きさは、関連する統計データからも明らかです。CNN Businessの報道によると、中国国内の製造業を対象とした調査で、20218月の活動が50.1%に低下し、パンデミック発生以降最も低い成長率となりました。

 

ターミナル閉鎖が中国国内の製造業に与える影響は軽微だと誤認されがちですが、実際は国内製造業と海運業は密接に関係しています。例えば、メーカーが生産量の調整をする際、生産工程に必要な材料を輸出入できるかどうかなど、さまざまな要因が絡むことを考慮する必要があります。これは一例に過ぎず、海運業と製造業の関連性は、中国の他の主要産業にも存在します。

 

一方で、ロイター通信の記事によると、中国から米国への輸送料金は、20218月に40フィートコンテナ1つあたり20,000米ドルを大幅に超えて最高値を更新したと述べられています。これは、前年の同時期と比較すると500%の上昇となります。同様に、塩田港の8月末時点での平均輸送コストは15,336米ドルとなっています。国内の製造業とは対照的に、国際的な観点から見た中国の「コンテナ危機」の影響を反映した数字です。




回復に向けて

輸送遅延の原因の多くは新型コロナウイルスに起因するものですが、ロボットサービスの導入はその解決の一助となる可能性があります。

 

当社YCP Solidianceが発表したホワイトペーパー「新型コロナウイルスが中国のロボット産業に与えた影響」によると、中国の医療・サービス業界では、プロセスの自動化、人との接触の最小化、群集管理の監視などのためにロボットを活用し、それがプロセス全体の安全性と業務効率の向上につながっていると述べられています。例えば、中国のXAG Technologies社は、農業用散布ドローンを様々な産業向けの空気清浄機に改造しました。

 

中国の港では、さまざまな船舶トラブルによる損失を補うために、現在の活動量を増やす必要がありますが、そのためには、まず従業員の安全を確保することも必須となります。今後、港湾局や関連業者は、デジタルやテクノロジーを駆使して、着実に回復するための適切なプロセスを構築していくことが期待されています。

 

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