タイにおける産業建設分野の成長

タイの工業部門は、国内において最も重要な産業としての地位を確立しています。

2019 年 07 月 , by

タイは、この地域ではインドネシアに次いで2番目の経済規模を持つと伝えられています。タイは、カンボジア、ミャンマー、ラオスの経済を支える存在として機能しているため、近隣諸国にも強い影響力を持っています。タイのサクセスストーリーを語るうえでは、2つの分野の成功を言及する必要がありますが、その1つは工業部門です。

タイの工業部門は、同国における最も重要な産業の1つとしての地位を確立しています。自動車組立産業の重要な拠点として、世界的にも高い評価を得ています。電子機器や加工食品など、他の多くの工業製品も、人口6800万人のこの国で製造体制を確立しています。工業部門は単独でタイのGDPの35%を占めています。タイの工業部門の経済見通しは、肯定的であると解されています。

さらなる発展を遂げるために、産業建設部門は、この地域においてタイが今後経済をリードするための基礎となるとみられます。建設部門自体は、同国の経済発展に重要な役割を果たします。 2014年から2015年にかけて経済不況により業界が低迷したにもかかわらず、建設部門は、工業部門の成長と並行して改善がみられました。

YCP Solidianceのレポート「タイランド2.0は建設業界を復活させるか?」によると、タイの建設部門にとって、多数の経済重点地域の開発を行う、政府の大規模な計画は好機であるといえます。異なる地域においては、建設において求められる内容が異なります。タイの建設業者は、これらの機会を捉え、状況に応じて専門分野を調整する必要があります。

タイで最も重要なプロジェクトの1つは、パタヤからラヨーンに及ぶ東部経済回廊の開発です。東部経済回廊自体が国の経済成長を刺激し、タイを産業、インフラ、都市開発分野でASEANをリードする経済圏とすることが期待されています。自動車、電子機器、デジタル、医療、バイオ燃料、生化学、航空、ロジスティクスなど、多くの産業がこの壮大な構想の一環として確立されるように設計されています。空港、港、鉄道の開発に向けた建設と投資は、これらの大規模な経済圏を支えるためには不可欠となります。

大メコン圏(GMS)経済回廊の開発は、タイの建設部門にとって、もう1つの機会でもあります。メコン川流域の各国間に経済圏を構築するために、アジア開発銀行(ADB)の支援の下、関連する請負業者のサポートを受け、輸送ルートと通信システムの構築がまもなく行われる予定です。

しかし、これらの様々な機会がみられるなか、タイは産業建設部門を取り巻く複数の課題に取り組む必要があります。この分野における課題のほとんどは、これら全ての潜在的な経済地域の開発を支援する政策において、政府に矛盾と不確実性が存在することによって示されています。これは、タイの内閣改造や国内の政治問題が現在も継続していることが原因です。政府計画の実施が遅れた場合、工業部門関係者の信頼を損ね、産業建設分野の成長を遅らせることにもつながります。それ以外に、洪水などの自然災害は、成長を続ける工業部門に脅威をもたらす可能性があります。多くの工業部門の関係者が、他の近隣諸国で事業の立ち上げを選択する可能性があるためです。

タイにおける産業建設分野の成長は、近い将来に曲がり角に差し掛かると予想されます。複数の経済地域でインフラ開発を進める政府の計画は、産業建設部門の成長を後押しする機会となっていました。しかし、可能な限り最高の成長を実現するために、政府はその根本的な問題と政治的問題を克服するために、課題に取り組む必要があります。

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