サウジアラビアの建設業への投資機会を模索する

サウジアラビアの建設市場の将来はどのように見通されているのでしょうか?現在の市場動向と今後の可能性について解説します。

2022 年 05 月 , by YCPS Marketing & Communication Group

中東の建設業界全体がパンデミックからの回復に向けて舵を切る中、サウジアラビア王国(KSA)は、トレンドデータ、投資家の関心の高まり、建設業の強化に対する同国の長期的な取り組みなどの要因から、中東をリードする建設市場として注目されています。

Trade Arabiaのデータでは、サウジアラビアの建設市場は、2年前にすでに370億米ドルに達しており、2022年は好調に推移すると予測されています。また、2021年から2026年までの年平均成長率(CAGR)は5.2%と推定されており、サウジアラビアの建設業の将来は有望だと言えます。


サウジ・ビジョン2030
サウジアラビアの建設業界において、2022年に高い業績が期待されている理由のひとつとして、「サウジ・ビジョン2030」構想で掲げられた目標があります。サウジアラビアでは、石油資源への依存度を下げて経済の多角化を図る中、建設業の役割が非常に重要となるためです。

具体的には、政府は石油以外の収入を増やすために、国内消費を増やすとともに、民間部門の発展強化に重点を置いた長期的な経済の見通しを立てています。建設市場においては、人口増加やデジタル化に対応したインフラ整備など、特定のトレンドを活用することでそれを実現することができます。YCP Solidianceのホワイトペーパー「サウジアラビアの建設業界で成功するためのパートナーシップ」では、同国の発展を牽引する主要なトレンドについて解説しています。

官民連携へのステップ
サウジアラビアの建設市場にとって、「サウジ・ビジョン2030」などの同国の長期的な発展に向けた取り組みは当然重要ですが、国内外の関係者による官民連携もまた、成長への大きな役割を果たすことが期待されています。

サウジアラビアの建設事業者には、パートナーシップを結ぶ前に考慮しなければならないことがあります。国外の建設事業者にとって、サウジアラビアの投資環境はかなり改善されたとはいえ、投資判断に必要なリスクは依然として存在しています。そのリスクは以下のように分類されます。

  1. 契約 – 国内外の請負業者は、ともに標準的な契約書を使用し、違約金の支払い義務を負います。これらの契約は合理的な範囲内ですが、一定の制約のもとで政府が持つ契約解除権に留意する必要があります。
  2. 労働力 – 労働法の中には公共事業に携わる外国企業に有利なものもある一方で、外国企業にはサウジアラビア人に契約下の作業の30%を委託することが義務付けられています。また、プロジェクトの開始に際して政府から認定を受けるための現地視察など、一定の手続きが必要となりますが、全体として、これらのプロセスは容易に迅速化することが可能です。
  3. 賠償責任 – 当事者の賠償責任については、責任の制限や賠償額の上限が現地の法律で定められています。例えば、サウジアラビアは当事者に対して結果的な損害や疑わしい損害の賠償を認めることを禁じています。
  4. その他 – 一般的な状況下での不可抗力条項の発動は難しいですが、それ以外にも懸念される問題があります。例えば、請負業者は契約金の前払いを要求できますが、支払いを確実に受けるためには契約を結ぶ必要があります。民間事業の場合は、支払いが行われるまで業務を中断することが可能です。

これらのリスク要因を考慮することは重要ですが、サウジアラビアの建設業への参入を躊躇する必要はありません。公共部門と民間部門が開発の継続に意欲的であることからも、この分野の潜在力は計り知れず、有望な投資機会を生み出していると言えます。サウジアラビアの建設市場への参入を実現するため、すぐにでも積極的にパートナーシップの可能性を検討すべきです。


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