ベトナムの自動車ケア産業の概観

ベトナムでは、新型コロナウイルスの流行下でも、自動車需要の増加が自動車ケア産業に大きな恩恵をもたらしています。

2021 年 07 月 , by YCPS Marketing & Communication Group

新型コロナウイルスの世界的な流行にもかかわらず、ベトナムの自動車業界では、2021年第一四半期の国内自動車販売台数が急増し、ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、前年同期比36%増となりました。ベトナムの交通手段は依然として二輪車が主流であることを考えると、近年の乗用車需要の成長は歓迎すべきことです。

 

Vietnam News」の記事によると、統計総局(GSO)は、第一四半期の輸入車の販売総額が11億米ドルを超えたことを発表しました。AutoCare AssociationYCP Solidianceと共同で作成した「2022 AutoCare Factbook」のデータと、近代化が進むことによる安定性から、ベトナムの自動車産業は今後も成長を続けていくことが予測されます。

 

また、ベトナムでは自動車産業の発展に伴い、自動車関連のサービスやメンテナンスの需要も高まっています。そのため、現在、ベトナムの自動車ケア業界は、市場シェアをさらに拡大するまたとない好機を迎えています。

 


 

アフターマーケットの部品販売

自動車が普及したのが比較的最近であることから、ベトナムの自動車産業におけるアフターマーケットの部品の需要についても同様の状況が生じています。

 

YCP Solidianceの調査によると、ベトナムの人々の自動車メンテナンスのニーズは多種多様ですが、その約3分の2がエンジンや電子機器に関するものです。これは、自動車が古くなるにつれて、主要な機能を果たす部品のメンテナンスや修理が必要になることを示しています。現在、これらのアフターマーケットの部品は、韓国(38%)、日本(27%)、中国(19%)といった東アジアの国々からの調達が圧倒的に多くなっています。

 

独立系整備工場とOEMサービスセンターの役割

アフターマーケットの部品の調達については、独立した販売店や卸売業者経由の販売がほとんどで、オンラインチャネルでの販売はほとんどありません。そこから、半数強の車両が非公式の独立した整備工場でサービスを受け、約45%はOEM(相手先ブランド名製造)ディーラーが担当します。

 

ベトナムでは、トヨタ、HondaHyundaiKiaといったアジアの自動車ブランドが人気を博しており、高額なOEMディーラーではなく、独立した整備工場を選択することも一般的です。一方で、新型車やヨーロッパの高級車については、OEMセンターの利用が好まれています。

 

OEMセンターと独立した整備工場のサービスの質を見分けるには、修理の種類を考慮することが重要です。古い自動車の日常的なメンテナンスについては独立した整備工場が好まれる一方、大規模で複雑な修理についてはOEMが選ばれる傾向があります。

 

今後の展望

しかし、自動車オーナーのサービスの選択肢は間もなく変わる可能性があります。時間の経過に伴い、技術者が車両、修理、部品の複雑さに習熟することで、OEMサービスセンターと独立系整備工場の技術の差は小さくなっていくためです。同様に、ベトナムの安定した経済成長が続けば、中間層の人々がOEMやプレミアムサービスセンターを利用するようになる可能性もあります。

 

さらに、いくつかの政府機関が自動車需要の増加に注目し、環境税の追加導入を働きかけています。また、電気自動車(EV)の導入も検討されていますが、開発をサポートするインフラが整っていないため、現行の自動車と競合する可能性は低いと見られます。

 

このように、ベトナムの自動車産業は、パンデミックの影響を受けながらも、かつてないほどの経済成長を遂げています。ベトナムの自動車産業が今後も発展していくことは間違いありません。

 

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