インドの製造業に影響を及ぼすGST

インドにおけるビジネスのしやすさを改善することが、税制改革に求められています。

2017 年 12 月 , by

GST制度の導入は、製造業の拡大を後押しするとともに、インド経済の成長と発展につながるものです。

インドの物流とサプライチェーン機能は、大きな変革を遂げるとみられます。調達、保管、流通に関する決定は、もはや税制度の影響を受けることはなく、主に業務効率、規模、主要な消費センターとの近接性に基づいて行われます。

製造および保管の場所、サプライヤーネットワークが見直される可能性があります。さらに、実質的に州の区別が存在しないため、企業は地理的な範囲を拡大する大きな機会を得ると考えられます。

倉庫業の市場規模は約5600億インドルピーと推定され、すでに年10%の成長を続けています。新たな税制改革はこの業界に大きな影響を及ぼし、物流の収益性を3~4%押し上げると予想されています。

GSTは、「メイク・イン・インディア」などの他の政府が掲げるイニシアチブと並んで、世界市場に向けての製造拠点としてインドを発展させるために貢献する、国内最大の税制改革です。 さらに、インドのこのエコシステムは、国内外の企業をより惹きつけ、インドが「世界レベルでビジネスを行いやすい」レベルに達するために貢献する可能性があります。

インドの製造業はGDPの16%のみにとどまり、複雑な税制、不十分な官僚制度、劣悪なインフラを原因として、20年以上停滞しています。しかし、税制は大きな変化を遂げました。2017年7月1日から、インドは物品・サービス税(GST)制度を導入しています。インドでは州間の境界が希薄化し、事業の取り組み方が改善されています。

過去の課税制度は複雑な多層システムであり、中央政府と州政府が二重に税金を課し、結果として販売される商品のコストが増加し、様々な面で効率性を欠いていました。メーカーは地方税を避けるために複数の地域に倉庫を持つ必要があり、結果的に高い輸送コストの負担を余儀なくされていました。

GST制度は、以前の連鎖的な税制度の問題を解決し、一元化され付加価値をもたらす税制度へと変革を遂げました。この改革により市場での競争が高まり、メーカーは利益率に影響が生じることなく販売価格を下げることができるため、メーカーだけでなく、エンドユーザーも恩恵を受ける制度であるといえます。

インド共和国の名でも知られるインドは、世界で2番目に多くの人口を抱え、面積では7番目に大きく、民主国家としては最も人口が多い国です。経済自由化が開始された1991年以降、インドは世界で最も経済面で急成長している国の1つとして、そして新たに工業化が進められている国として、存在感を示しています。インドはGDPで世界第6位、購買力平価(PPP)では3位につけています。強力な民主主義とパートナーシップに支えられ、同国は今後10年から15年の間に世界のトップ3の経済大国の1つになると予想されています。

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